公正証書遺言について
2024/08/05
公正証書遺言について
遺言の中でも、信頼性の高い公正証書遺言についてお話しします。
1 公正証書遺言について
公正証書遺言は、遺言者の意思を明確にし、遺産相続を円滑に進めるための有力な手段です。日本にお
いて遺言は大きく分けて、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三種類がありますが、その中で
も公正証書遺言は特に法的信頼性が高いとされています。以下に、公正証書遺言の特徴、メリット、作成
手続き、注意点について論じます。
2 公正証書遺言の特徴
公正証書遺言は、公証人が作成する遺言書で、公証役場で保管されるため、偽造や紛失のリスクがほと
んどありません。遺言者が公証人の面前で意思表示を行い、公証人がその内容を文書にまとめ、遺言者と
証人が署名・押印する形で作成されます。これにより、遺言内容が明確であり、後日争いが生じる可能性
が低くなります。
3 公正証書遺言のメリット
(1)法的信頼性の高さ: 公証人が関与することで、遺言の内容が適法であることが保証されます。公正証書
遺言は家庭裁判所の検認が不要で、遺言執行が迅速かつスムーズに行われます。
(2)偽造・変造の防止: 遺言書が公証役場に保管されるため、遺言者の死後に遺言書が見つからない、ある
いは偽造・変造されるリスクがありません。
(3)遺言内容の明確化: 公証人が遺言者の意思を確認し、適法な文言で遺言書を作成するため、遺言内容が
明確であり、解釈の誤りや曖昧さが生じにくいです。
(4)安心感: 公正証書遺言を作成することで、遺言者は自分の意思が確実に反映されるという安心感を得ら
れます。これにより、遺族間の争いを防ぐことができ、円満な相続を実現する一助となります。
4 公正証書遺言の作成手続き
公正証書遺言を作成するには、以下の手順を踏みます。
(1)事前準備: 遺言者は、遺言内容を事前に整理し、公証人と相談するための準備を行います。財産目録や
相続人のリストなど、必要な資料を揃えます。
(2)公証人との打ち合わせ: 公証人と打ち合わせを行い、遺言内容の詳細を決定します。公証人は遺言者の
意思を確認し、法的に適切な文言で遺言書を作成します。
(3)証人の準備: 公正証書遺言の作成には、遺言者以外に二名の証人が必要です。証人には、未成年者、推
定相続人、受遺者、公証人の配偶者や親族などが含まれてはいけません。
(4)遺言書の作成と署名: 公証役場で公証人が遺言書を読み上げ、遺言者と証人がその内容を確認した上で
署名・押印します。公証人も署名・押印し、公正証書遺言が正式に成立します。
5 注意点
(1)費用: 公正証書遺言の作成には、公証人の手数料がかかります。財産の額に応じて手数料が変動するた
め、事前に確認することが重要です。
(2)証人の確保: 適切な証人を二名確保する必要があります。証人には法的な制限があるため、注意が必要
です。
(3)内容の見直し: 遺言は一度作成すれば終わりではなく、遺言者の状況が変わるたびに内容を見直し、必
要に応じて新たな遺言書を作成することが推奨されます。
5 結論
公正証書遺言は、遺言者の意思を確実に伝え、遺産相続を円滑に進めるための強力な手段です。その法
的信頼性の高さ、偽造や紛失の防止、明確な内容により、多くの人々に選ばれています。費用や証人の確
保といった注意点はあるものの、遺言者の安心感と遺族間の争いを防ぐ効果は非常に大きいです。公正証
書遺言を活用することで、円満な相続を実現し、遺族の将来を守ることができます。
公正証書遺言を作成されたい方は、是非当事務所にご相談下さい。