株式投資に使われる指標について
2024/12/25
株式投資に使われる指標について
ややこしい略語について解説します。
株式投資における重要指標の解説
― 投資判断のための基本指標ガイド ―
はじめに
株式投資において、企業価値や株価の割安度を判断するための指標は非常に重要です。本稿では、投資判断に欠かせない主要な指標について、実務的な観点から解説していきます。
1. 収益性・割安度を測る基本指標
1-1. PER(株価収益率)
● 計算方法:株価 ÷ 一株当たり純利益(EPS)
● 適正水準:業界平均や過去の推移との比較が重要
● 活用のポイント
一般的に10~15倍が適正とされる
成長企業は高めのPERでも許容される
同業他社との比較が特に有効
1-2. PBR(株価純資産倍率)
● 計算方法:株価 ÷ 一株当たり純資産(BPS)
● 判断基準
● 1倍未満:純資産より株価が低い(割安の可能性)
● 1倍超:将来の成長期待が織り込まれている
● 業種による特徴
製造業:設備投資が多く、一般的にPBRは低め
サービス業:無形資産が多く、PBRは高めとなりやすい
1-3. ROE(自己資本利益率)
● 計算方法:純利益 ÷ 自己資本
● 評価の目安
8%以上:一般的な目標値
10%以上:良好な水準
15%以上:極めて優良
2. 財務健全性を測る指標
2-1. 自己資本比率
● 計算方法:自己資本 ÷ 総資産
● 判断基準
40%以上:健全とされる水準
20%未満:要注意水準
● 業界特性による違い
製造業:30~40%が一般的
金融業:10%前後でも許容される
2-2. 流動比率
● 計算方法:流動資産 ÷ 流動負債
● 基準値
200%以上:極めて安全
150%以上:一般的な安全基準
100%未満:要注意水準
2-3. 有利子負債比率
● 計算方法:有利子負債 ÷ 総資産
● 評価基準
30%未満:健全な水準
50%以上:財務リスクに注意が必要
3. 株主還元に関する指標
3-1. 配当利回り
● 計算方法:一株当たり配当金 ÷ 株価
● 評価の目安
2%以上:比較的高配当
4%以上:高配当銘柄として注目される
● 業種による特徴
成長企業:低めの配当利回り
成熟企業:高めの配当利回り
3-2. 配当性向
● 計算方法:配当総額 ÷ 純利益
● 一般的な水準
30%程度:バランスの取れた水準
50%以上:株主還元に積極的
● 企業の成長ステージによる違い
成長期:低め(内部留保重視)
成熟期:高め(株主還元重視)
4. 企業の成長性を測る指標
4-1. 売上高成長率
● 計算方法:(当期売上高 - 前期売上高)÷ 前期売上高
● 評価ポイント
市場平均との比較
過去のトレンド
業界の成長率との比較
4-2. 営業利益成長率
● 計算方法:(当期営業利益 - 前期営業利益)÷ 前期営業利益
● 重要性
本業の収益力の成長を示す
持続的な企業価値向上の指標
5. テクニカル指標
5-1. RSI(相対力指数)
● 計算方法:上昇幅の合計 ÷(上昇幅の合計 + 下落幅の合計)
● 判断基準
70以上:売られすぎ
30以下:買われすぎ
5-2. 移動平均線
● 種類:25日、75日、200日など
● 活用方法
トレンド確認
サポート・レジスタンスライン
ゴールデンクロス・デッドクロス
おわりに
これらの指標は、単独で判断するのではなく、複数の指標を組み合わせて総合的に評価することが重要です。また、業界特性や企業の成長ステージによって、各指標の重要度や適正水準は異なってきます。
投資判断のためのチェックリスト
□ 基本指標(PER、PBR、ROE)の確認、 □ 財務健全性指標のチェック、 □ 株主還元指標の評価、 □ 成長性指標の分析 、□ テクニカル指標の確認、 □ 業界平均値との比較、 □ 過去トレンドとの比較
以上の指標を参考に、慎重な投資判断を行うことをお勧めします。