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秘密証書遺言について

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秘密証書遺言について

秘密証書遺言について

2024/08/08

秘密証書遺言について

遺言の一形式である「秘密証書遺言」のさわりをご説明します。

 

 はじめに

 秘密証書遺言は、遺言者の意思を秘密に保つことができる遺言の形式であり、日本の民法において認められています。この形式の遺言は、遺言者の遺言内容が第三者に知られることなく、自身の意志を確実に伝えるための手段です。以下に、秘密証書遺言の意義、作成方法、効力、およびメリットとデメリットについて詳述します。

1 秘密証書遺言の意義

  秘密証書遺言は、遺言内容を秘密に保ちつつ、遺言の存在を公的に証明するための方法です。自筆証書

 遺言とは異なり、遺言の全文を自筆する必要はなく、パソコンや他人による代筆も認められています。ま

 た、公正証書遺言のように公証人が遺言内容を知ることもありません。遺言者のプライバシーを保護しつ

 つ、遺言の存在を確実にするための手段として利用されます。

2 秘密証書遺言の作成方法

  秘密証書遺言の作成には、以下の手順を踏む必要があります。

(1)遺言の作成:

   遺言者は、遺言の内容を記載した文書を作成します。この文書は、自筆、タイプライター、パソコン

  などで作成することができます。他人に代筆させることも可能です。

(2)署名と押印:

   作成した遺言文書に遺言者が署名し、押印します。この押印は、遺言者自身の実印であることが望ま

  しいですが、認印でも構いません。

(3)封筒への封入と封印:

   遺言文書を封筒に入れ、封をします。封筒には遺言者の署名および押印が必要です。この封印によ

  り、遺言内容が第三者に開封されないようにします。

(4)公証人および証人の前での手続き:

   封印した遺言書を公証人および証人二人の前に提出し、「これが私の遺言書である」と口述します。公

  証人は、遺言者の申述および封印の存在を確認し、その旨を記載した証書を作成します。この証書に

  は、遺言者、証人、公証人の署名および押印が必要です。

3 秘密証書遺言の効力

  秘密証書遺言の効力は、他の遺言形式と同様に法的に認められます。しかし、遺言が有効とされるため

 には、形式的要件を満たしていることが必要です。具体的には、遺言書の署名押印、封印、公証人の面前

 での手続きなどが適切に行われていることが求められます。また、遺言者が遺言作成時に意思能力を有し

 ていたことも確認されるべきです。

4 秘密証書遺言のメリット

  秘密証書遺言には、以下のようなメリットがあります。

(1)秘密保持:

   遺言内容を第三者に知られることなく、遺言者の意思を秘密に保つことができます。

(2)柔軟性:

   遺言書を自筆する必要がなく、パソコンや他人による代筆が可能であるため、作成の自由度が高いで

  す。

(3)法的証明:

   公証人および証人の面前で手続きを行うため、遺言の存在とその有効性が公的に証明されます。(但

  し、開封前に家庭裁判所による検認手続きを経ねばなりません。)

5 秘密証書遺言のデメリット

  一方で、秘密証書遺言には以下のようなデメリットもあります。

(1)形式的要件の複雑さ:

   作成手続きが複雑であり、形式的要件を満たさない場合、遺言が無効となるリスクがあります。

(2)遺言書の紛失リスク:

   遺言書が封筒に封入されているため、紛失や破損のリスクがあります。

(3)費用の発生:

   公証人および証人を必要とするため、一定の費用が発生します。

6 結  論

  秘密証書遺言は、遺言内容を秘密に保ちつつ、法的に有効な遺言を作成するための有用な手段です。作

 成手続きは複雑であるものの、公証人および証人の前で手続きを行うことで遺言の存在と有効性が公的に

 証明されます。秘密保持のメリットが大きい一方で、形式的要件を満たさない場合のリスクや紛失リスク

 も考慮する必要があります。遺言者は、自身の状況やニーズに応じて最適な遺言形式を選択することが重

 要です。

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