行政書士・海事代理士安江聖也事務所

60代からできる相続対策

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60代からできる相続対策

60代からできる相続対策

2024/10/10

60代からできる相続対策

 

1. はじめに

 60代になると、自身の老後生活の安定とともに、相続についても具体的に考え始める時期です。相続対策は、単に遺産を分けるだけでなく、相続税の節税や遺族間での争いを避けるためにも重要です。また、財産をどのように次世代に引き継ぐかという観点からも、早めに計画を立てることが必要です。本解説では、60代からできる相続対策について、基本的な考え方から具体的な方法までを詳しく説明します。

2. 相続対策の基本的な考え方

 相続対策は主に以下の3つの観点から考えることが重要です。

 遺産分割対策: 遺産をどのように分けるかというプランニングです。これにより、相続人間のトラブルを未然に防ぎます。

 相続税対策: 相続税をいかに抑えるかが焦点となります。財産の評価額を下げる工夫や、税負担の少ない方法で資産を渡す方法を検討します。

 納税資金対策: 相続税の納税に備えた資金の準備も重要です。資産が現金でない場合、納税資金をどう確保するかを考えます。

3. 遺産分割対策

 (1) 遺言書の作成

  遺産分割の対策として最も基本的で有効な手段は、遺言書の作成です。遺言書は、自分の意思に基づい

 て遺産の分割方法を指定することができ、相続人間での争いを防ぐ大きな効果があります。

  遺言書は、主に以下の3つの形式で作成できます。

   自筆証書遺言: 自筆で書く遺言書で、費用がかからないというメリットがあります。ただし、形式に不

  備があると無効になる場合があり、保管の問題もあります。近年は法務局で自筆証書遺言を保管できる

  制度が導入されており、安全性が高まっています。

   公正証書遺言: 公証人の前で作成される遺言書で、内容が法律的に有効であることが確認されます。費

  用はかかりますが、確実性が高く、遺言執行もスムーズに行われます。

   秘密証書遺言: 内容を秘密にしつつ、公証人に証明してもらう形式です。自筆証書遺言よりも確実性が

  ありますが、利用は少ないです。

 (2) 家族信託の活用

  60代からの相続対策として、家族信託の活用も注目されています。家族信託とは、財産の管理や運用を

 信頼できる家族に託し、自身の意思に基づいて財産を運用・管理してもらう仕組みです。特に、認知症な

 どにより自身で財産管理が難しくなるリスクを考慮した場合、家族信託は有効です。

  例えば、60代のうちに自宅や預金を信頼できる子どもに託すことで、財産がしっかりと管理され、本人

 が亡くなった後も円滑に相続が行われます。家族信託は遺言書とは異なり、信託契約を締結することで生

 前から財産を管理することができる点が大きな特徴です。

4. 相続税対策

 (1) 生前贈与

  生前贈与は、相続税対策として効果的な方法です。贈与税は相続税よりも控除が多く、年間110万円まで

 の贈与には贈与税がかからないため、毎年少額ずつ財産を移転することで、相続時の税負担を軽減できま

 す。

  60代からの生前贈与は、財産を子や孫に少しずつ移転し、相続財産そのものを減らすことに繋がりま

 す。また、教育資金贈与や結婚・子育て資金の一括贈与の制度を活用することで、さらに効果的な贈与が

 可能です。

  教育資金贈与: 祖父母から孫への教育資金(最大1500万円)を非課税で贈与できる制度。

  結婚・子育て資金贈与: 結婚や子育てに必要な資金を祖父母が贈与する際、最大1000万円までが非課税

 となる制度。

 (2) 財産評価の引き下げ

  相続税は、財産の評価額に基づいて課されます。そのため、財産評価を引き下げることができれば、相

 続税を抑えることが可能です。財産評価の引き下げ方法としては、以下のような方法があります。

  不動産の有効活用: 不動産は現金よりも評価額が低くなる場合があります。特に賃貸物件として活用する

 ことで、評価額を下げることができます。60代で賃貸住宅を建設し、その賃料収入で生活費を補いながら

 相続対策を進めるのも一つの方法です。

  土地の小規模宅地等の特例の適用: 自宅の土地は、一定の要件を満たすことで評価額が最大80%減額さ

 れる「小規模宅地等の特例」を適用することができます。これにより、相続税の負担を大幅に軽減できま

 す。

 (3) 生命保険の活用

  生命保険も相続税対策として有効です。生命保険金は、法定相続人1人につき500万円までが非課税とな

 るため、この非課税枠を活用して資産を生命保険に移しておくことで、相続税の負担を軽減できます。

  また、生命保険は相続財産とは別に受け取ることができ、相続発生時にすぐに現金が手に入るため、納

 税資金としても利用できます。

5. 納税資金対策

 (1) 不動産の売却や運用

  多くの人が財産の大半を不動産で保有していますが、不動産は現金とは異なり、すぐに納税資金として

 活用できません。相続税の納税に備え、不動産の一部を売却したり、賃貸として運用し、その収益を納税

 資金として確保する方法が考えられます。

 (2) 生命保険の受取金

  前述の生命保険の活用は、納税資金対策としても非常に有効です。生命保険金は相続時にすぐに受け取

 れるため、相続税の支払いに充てることができます。また、非課税枠があるため、税負担も軽減されま

 す。

 (3) 自社株式の納税猶予

  もし家族で事業を営んでいる場合、自社株式の相続に際して、相続税の納税猶予制度を活用することが

 できます。中小企業の事業承継においては、事業を継続するために必要な資産や株式について、相続税の

 猶予が認められるケースがあるため、これを検討することが重要です。

6. まとめ

 60代からできる相続対策は、遺産分割や相続税対策、さらには納税資金の確保まで、幅広い観点から検討する必要があります。

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